「生きづらさ」からの脱出

原材料から作るお菓子屋さん、お菓子工房ゴドーです。

今回は自分が感じている「生きづらさ」について書いてみます。

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社会に適合できない苦しさ

私はおよそ七年間、サラリーマンとして金融機関で勤めてきました。

会社を辞めたきっかけは、病気です。私は元々持病があり、当時は日々体調不良に苦しめられており、休職を経ても体調が回復しなかったため、「もう無理だろう」と思い会社を退職しました。

結婚して子供もいるなかで、なんてことをしてしまったんだろう、と今でも思います。

正直なところ、会社員生活は苦しかったです。

まず毎日の電車通勤が苦痛。満員電車のギスギスした空気に耐えられず、朝早起きをして混んでない時間帯の電車に乗っていました。毎日「朝早く起きないと満員電車に乗ることになる」というプレッシャーで眠れず、眠れたとしても電車に乗るために早く起きなければならないので、睡眠時間は4時間程度でした。

会社での人間関係も上手くいかないことが多かったです。一つの部署に1年も居ると、すぐ回りの人と上手くいかなくなり異動。ストレスで病気が悪化して体調不良で休職。そんなことをずっと繰り返していました。

「自分は会社員に向いていないなあ」と思いながらも、それが「決められたレールだから」と我慢の毎日でした。大半の人が経験するであろう「会社員」というものに、私は適合できないまま日々を過ごしていました。

居場所がないと感じる辛さ

体調悪化がひどく、毎日寝たきりのような生活を送っていた中で、妻も「もう限界だろう」と感じてくれたのか、子供を抱えているにも関わらず退職することを決意。適合できなかった会社という組織から離れて心の荷は下りましたが、かりそめとは言え居場所であった会社から飛び出てしまったことで、私はなんでもない「ただの人」になりました。

どこにも所属していないと、自分の存在価値のようなものを見失いました。

これからどうするんだろう。どうすればいいんだろう。自分はいったい何者なんだろう。

社会に適合できなかった私は、完全に社会との接点を失っていました。あるのは病気で毎日しんどい身体だけ。

あの時は、妻と幼い娘の存在だけが心の支えでした。

新しいコミュニティへ

会社を辞めた私は、妻の実家がある広島県三原市に引っ越すことになりました。体調が回復するまで、農業でもやってみたらどうかという義両親の勧めもあったからです。

病気がちで身体が弱い私は、身体を動かす仕事なら病気にも良いかもしれない、何か新しいことを始めたほうが良いだろうと思いその誘いに乗りました。

義父の人間関係もあって、農地はすぐに借りられました。私は三原市で有機農業を長いこと続けられている「坂本農場」さんで一年間農業の研修を受け、耕作放棄地で小麦の栽培を始めました。

三原市に引っ越して二ヶ月ほど経ったある日、まだ農業のことも何もわからない時期に「妻は元々パティシエだったのだから、農作物を加工してお菓子にして販売してみたらどうだろうか」と思いつきました。それでお菓子の原材料である小麦を栽培してみよう、と思ったのでした。

三原市深町という小さなコミュニティは、よそ者である私を受け入れてくれました。「農作業をしている若い男がいる」という噂は、田舎の小さなコミュニティですからすぐに広まり、「話したことも無い人が自分のことを知っている」という田舎ならではの状況になりました。

再度の病気でコミュニティを離れる

去年の夏に、私はストレスから持病とは別の病気になりました。現在療養中で、私一人実家に帰って静養しています。

会社というコミュニティに適合できず、新しく見つけたと思った田舎のコミュニティから引き離され、私は大きく失望しました。

なんだ。結局自分に居場所なんて無いんじゃないか。自分は社会から見放された本当の社会不適合者なんじゃないか。

病気で三原を離れるときの失望感は、言葉では言い表せません。世界全体から見捨てられたような気がしたものです。

社会不適合者でもいい

三原から離れても、私はお菓子工房の仕事で出来ることをやっていました。まず取り組んだのがオンラインショップの開設です。

色々調べた結果、決済手段の豊富さと気軽に始められること、コストなどを勘案し「BASE」でオンラインショップを立ち上げることにしました。

その時の私は、お菓子工房という事業を続けていくにあたって何か参考になることはないかと、「ベンチャー通信」というサイトで色々な起業家のインタビューを読んでいました。

起業家が何を思って事業を始めたのか。成長のためどんなことに力を注いできたのか。夢中になってサイトを眺めていました。

そこで目に留まったのが、一般的な起業家と違った雰囲気の家入一真さんでした。

家入さんについて調べてみると、BASEの創業者とのこと。早速Twitterでフォローしました。

すると家入さんがブログで「起業家は社会不適合者だ」と述べておられるのを知りました。家入さん自身も引きこもりを経験し、それでも起業家として活躍されているとのこと。

今まで自分を苦しめてきた、「自分は社会不適合者だ」という重荷がスッと降りたような気がしました。

起業家なんてのは往々にして社会不適合者で、今の社会に無理に自分をあわせて生きづらさを抱えながら生きるよりも、自分のような人間でも生きやすくなる理想の社会をつくるほうが早いしみんなも喜ぶのではないか、と独善的に動く人間たちなのかもな。

(家入一真さんのブログ「生きづらさに世界をあわせる」より引用)

生きづらさを抱えながら生きるよりも、自分に合った世界を作り出す。正に逆転の発想。

自分は社会に適合できなかった、自分は駄目だと信じて疑いませんでしたが、お菓子工房の起業を通じて自分に合った社会を作ってしまえば良いんだ。自分がやっていること、やろうとしていることは間違いじゃない。社会にとっても、自分にとっても良い結果に繋がる可能性があることなんだ、と思えるようになりました。

まとめ

  • ずっと社会に適合できずに生きづらさを感じてきた
  • 社会不適合者でもいい。自分に合う社会を作り出してしまえばいい。
  • 起業家には新しい社会を産み出す機会がある。

長々と取り留めの無い文章になりましたが、自分がずっと捕らわれてきた呪縛から逃れられた切っ掛けについて書いてみました。